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EDDIE
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エディ STORY

僕ね ボクシング以外何もできないけど
1つだけ得意なことあるよ
それはねぇ しおれた花をしゃんとさせることよ


EDDIEストーリー1
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ボクシングのチャンピオンが生まれるたび、
そのリングサイドの影にはいつもエディ・タウンゼントの姿があった。

ボクシングトレーナーであるエディは、
今日もジムで若い選手達とトレーニングに励んでいる。
試合で勝者になった者、負けて、
自らの屈辱と葛藤している者、
そして明日のチャンピオンを夢見る練習生・・・・
それぞれの思いがジムには熱気となって溢れていた。
その中に、黙々と練習する男の姿があった。
エディが「BOY」と呼ぶ、井岡弘樹である。
彼は、先の試合で世界チャンピオンになり、
マスコミに騒がれ、ジムの中で練習生たちの憧れに的になっている。


EDDIEストーリー2

今、エディはジムの2階に移り住み、
文字通り彼と寝食を共にしていた。
井岡は次の試合の相手も決まり、
エディに動きのポイントや、
パンチのコツを教えてもらってる。

そこへ、電話のベル   
「松本、お前だ」と呼ばれた男は、
エディが次のチャンピオンと称するボクシングの
才能溢れる青年
幾度か頷いた後、彼は大声を張り上げた。
「どうしてもっと早く知らせてくれなかったんだ。」
そして、皆が心配な面持ちで迎える中、
彼は親父の訃報を告げられるのであった。

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EDDIEストーリー3


エディは公園でタバコを吸っている。
「選手はネ、タバコ良くないですよ。
ダカラネ、ここで吸うんですよ。」
暗闇の中、煙草を吸う姿はまるでホタルのようだと
彼は少年のように微笑んだ。
松本が帰省している間も選手達はエディの見守る中、練習に明け暮れていた。
その日の練習を終える頃、
東京に残してきた妻から送られた宅急便が届いた。
箱を開け、中身を物色しているエディの様子は、
プレゼントを開ける子供の様に嬉々としている。
その箱を2階の部屋に片付けようと腰を上げる・・・・
瞬間、荷物ごとエディが床に倒れこんだ・・・・


EDDIEストーリー4

急を聞いてかけつけた妻(百合子タウンゼント)は
ジムにより心配するチカにエディの容態が無事な事を伝える
エディは見舞いに来た会長に
「ジムは大丈夫か?」「BOYは?」とたずねてばかりで
ベットに居ても落ち着かない様子だが、
心配せずに休むようにととがめられ、
ようやく横になるのだった。
百合子は会長と外に出て、
エディが『癌』である事を告げる。
そして、休養と称してエディを東京へ
連れて帰りたい言うのであった。
エディは会長の取り計らいで東京に戻る事になった。

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EDDIEストーリー5
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気分のすぐれないまま公園のベンチに腰を下ろしいる
井岡のところへ、密かに思いを寄せている
チカが様子を見にやってくる。
いつもは試合が近づくにつれ
ハッピーになるという井岡だが、心配するチカに
今の自分は試合が怖いんだと打ち開けた。
「大丈夫。絶対勝てるワ。
わたし、井岡君のこと見てるから、
ずっと試合見てるから・。」


EDDIEストーリー6

東京で入院するエディの所へ、
予期せぬ来訪者がやって来た。
井岡である。
久しぶりに会うBOYにエディは顔を緩め
嫌いなすっぽんの血もちゃんと飲み干すほどだった。
今日はここへやってきたのは、
エディがボクシング協会から表彰され、
会長と井岡が代理で出席した為だった。
しかし、エディが、僅か1ヵ月ほどで
驚く程衰えてることに井岡の胸は
締め付けられる想いであった。
「エディさん、きちんと食べてますか?
ママの言う事聞かないとダメですよ。」
彼はそう言うのがやっとだった。
「どうして、この足、動かないの?
僕の身体、あっち切って、こっち切って・・・・・
ボクね、何も悪い事してないですよ。」
老トレーナーの悲しみは少年の心に深く刻まれた。
「今度の試合は、死んでも負けられない・・・・・。」

ジムへ戻ってからの井岡は、
見違えるように練習に打ち込んだ。

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EDDIEストーリー7
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人影のないジムに、サンドバックを叩く音が響いてる。
松本が立っていた。
松本は小野に、家に跡を継ぐ為に
ボクサーを辞めなくてはならないと告げる。
そして、ボクシングの思いを断ち切るため、
最後に井岡とスパーリング(模擬試合)する事を
会長に望んだ。
「お願いします。オレ、ボクシングを忘れたくないんです。
この体に染み込ませておきたいです。」
当日、会長をはじめ、
松本との別れを惜しむ選手達が集まった。
この日のため、周囲が止めるのも聞かずに
駆け付けたエディの姿もあった。
しかし、車椅子に座り、
その痩せ衰えた姿は皆の目に痛々しく映った。


EDDIEストーリー8

ゴングが鳴ると、両者はリングの中央に出て行った。
井岡がファイテイングポーズをとると、
同時に松本は力まかせに打ち込んで来た。
右ストレート、左フック・・・・・
続け様に、打って、打って打ちまくる松本
それはまるで諦めきれない夢をグローブに
全て託しているようである。
その心の叫びに、井岡は熱いものが込み上げてきて、
思うように相手にパンチが当たらない。
「ストップ!・・・・・・BOY、何やってるの!
ボクシング、ナメるんじゃないよ!!」
その声にジムは水を打ったような静まり返った。
井岡はコーナーに戻り、自分の甘さを責めた。
<カーーン>
再びゴングが鳴らされた。
もう、井岡にも迷いはない。睨み合う両者。
張り詰めた空気を破ったのは
井岡の右ストレートだった。
一瞬ひるむ相手に容赦ないジャブを放つ。
松本はそれをブロックし、
すかさず、左アッパーを唸らせる。
休む間もなく左右に連打したが、

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EDDIEストーリー9
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井岡もジャブからフック、右ストレートを叩き込む。
苦悩の表情を浮かべ、マットに沈む松本がマットに崩れ落ちた。
ロープに?まりながら、必死に這い上がり、ファイティングポーズを
とるその眼には、まだ燃えたぎる闘志が見える。
今、彼を支えてるのは執念ともいえる気迫のみであった。
身体を引きずりながらも向かっていくが、
もはや井岡にとって敵ではなかった。
ロープに詰められ、連打される。
ヨロめく松本の顔面にフィニッシュブローが決まった。
ゆっくりと弧を描き、松本の身体は波打ちながら
マットに沈み、起き上がることはできなくなった。
コーチに抱き起こされた松本は、暫くぐったりとしていたが、
その顔をは清々しさに満ち溢れていた。
「マチモト、よくやりました・・・・・・。」
エディはは瞳を潤ませながら、
優しく微笑んで両手を広げた。
松本は母親にすがる子供のようにエディの
胸に飛び込んでいった。
「よく頑張りマシタ、・・・・マツモト、いいファイター、
ボク忘れない。辛いことイッパイある。
でも、マツモトなら、どんな事あっても負けナイ・・・。」
松本は、涙と汗でグチャグチャになった顔を拭い、
立ち上がって皆に深々と頭を下げ、ロープの向こう側の井岡に
グローブを差し出した。グローブを合わせ、
しばし見つめ合う二人に言葉はいらなかった。


EDDIEストーリー10

<1988年1月31日・チャンピオン初防衛戦>

控室では、井岡がウォーミングアップをしている。
その傍らにはベットが用意され、
心配そうに見守る人々に囲まれる中、
エディが横たわっていた。
エディの頬の肉は削げ落ち、目も落ちくぼみ、
死がそこまで来ていると、誰の眼から見ても感じられた。
若きボクサーと、命の灯が今にも消えようとする
老トレーナー。
そこには人生の明と暗が交鎖していた。
セミファイナルが終わり、
次の試合のアナウンスが流れる。
エディの容態がにわかに悪化し、救急車が呼ばれる
事になった。
「エディさんをどうするんだ!?
エディさんは此処にいたがってるじゃないか!!」
取り乱す井岡に百合子が厳しく論した。
「あなたは、試合のことだけかんがえてればいいの!」
井岡は控室の扉に手を掛け、
すでに意識のないエディさんに呟いた。
「エディさん、行こうか・・・・」
トレナーを残し、ボクサーは一人消えていった

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EDDIEストーリー11
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試合前のゴングがなった、
井岡のフットワークは軽快だったが、
挑戦者の攻撃も粘り強かった。
一歩も下がらない。
8ラウンドを終えた時、井岡に不利な情勢であった。
病室ではラジオを聞きながら、
百合子たちが気を揉んでいる。
「エディ、聞こえる?あなたのBOY,負けてるわよ。」
「・・・・」
コーナーに戻ってきた井岡に小野が叫ぶ。
「井岡、お前負けてるぞ!エディさんに恥ずかしくないのか!」
それを聞いた井岡に閃光が走った。
9,10,11ラウンドと井岡は連続してポイントを奪った。
最終ラウンド、顔を腫らし、尚も壮絶な撃ち合いが続く
1分35秒。満場は鮮やかな結末にどよめいていた。
ラジオが井岡の勝利を告げる。
すると瀕死のエディはかすかに意識を取り戻し、
満面の笑みを浮かべながら、
既に枝のようになった指でゆっくりとVサインを作り、
安らかに天国へと旅立って逝った。

瞳を閉じると今でもエディの声が聞こえる
「OK!BOY。ユーのガッツ見せてヨ・・・・」


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